People's Records CRAZY ANT Night Vol,3
武漢PUNK PARTY 2DAYS


2001年10月19日(金)・20日(土)
湖北省武漢・新人類BAR/Start 22:00


SMZB/生命之餅・乱日(From 武漢)
OUCH(From 北京)


湖北省武漢市 市街地


ここで武漢の街を紹介しよう。
湖北省の省都「武漢」は長江と漢江が合流するところを中心に古くから栄えてきた街で、
中国最大の大都市上海や河北省東部の港町天津、
山東省の省都済南、山東省の港町である青島、煙台同様に
現在の中華人民共和国建国以前(52年前)まで外国の租借地、
つまり半植民地のような状態だった都市で、
その為西洋式の建築物がいたる所に残されており、
場所によっては当時の西洋の街をそのまま持ってきたように感じるほどだ。

当時は「武漢」と言う名称は無く、長江の西側で、
漢江の北側に位置する[漢口]、漢江の南側[漢陽]、長江の西側[武昌]と
三地区それぞれ独立した名称しかなかった。

その後現在の中華人民共和国が成立した後、
「武昌」の“武”、「漢口」「漢陽」の“漢”から「武漢」と言う名称が誕生した。

当時、一番発展していたのは「漢口」地区で、租借地時代の中心地であった。
「漢陽」地区は未開発なところが多く郊外的な存在で、「武昌」地区は武漢大学があり、
大きな湖等のある環境の良い文化区のようなところであった。
結成初期の中国共産党が国民党軍閥に反対して決起した有名な「武昌起義」も
ここで起こっている。これは現在も変わりなく、
「漢口」は商業地帯、「漢陽」は一般的な都市で、「武昌」は幾つかの大学から
ハイテク産業までそろった一大文化地帯となっている。

また、武漢は中華人民共和国建国当時、北京についで第2位の首都候補地であり、
首都決定投票時、わずか1票の格差で北京に敗れたと言うエピソードがある。
中華人民共和国中央人民政府主席(国家主席)の毛沢東もこの土地を深く愛した。

現在は上海に比べ街の景観は劣るが中国南方の大都市の中では
独特色の強い都市と言え、旅行者に特殊な魅力を与えてくれる。

現在の武漢市政府は現在の上海を武漢発展のモデルとしているようで、
将来は内陸部の上海となるのではなかろうか?


武漢アンダーグラウンドミュージック&パンクシーンの歴史

ここで武漢のアンダーグラウンド・ミュージックシーンについて紹介しよう。

90年代初期、中国ロックの創始者の創始者的存在であった
“崔健”CuiJianに影響を受けた若者たちと、
現在の中華人民共和国建国以前の文化(中国では旧社会と言う)の影響を受けた
老人たちが、90年代初期、その文化を若者たちに語り、
多くの若者がそれらの文化を継承したと言うこの2つのきっかけが
どうやら武漢のアンダーグラウンド・ミュージックシーンの始まりのようだ。

パンクの始めは:94年ごろに、武漢大学付近にいくつかのカットテープショップがあり、
大学生を始めとして、既にロックバンドを組んでいる人からラジオ局のDJまで
各層の人々が外国から密輸されてきたカットテープやカットCDを買い、普及し始めた。

カット・テープ/カット・CDとは、外国で過剰生産されて廃棄処分となるカセットやCDを、
処分される寸前に密郵業者が中国へ密有してきたもの。

廃品の為カセットやCDのケースに幅5mm、長さ2cmほどの切り口が入っている、
この為中国では“打口帯”(カット・テープ)や“打口”と呼ばれている。

カット・テープやカット・CDと言ってもテープは切れたところをつなげば
ちゃんと聴けるし、CDも最後の1〜2曲以外は全部聴ける。
これらは国外では廃品かもしれないが、
この国では、中国のアンダーグラウンド・ミュージック・シーン
を生み出した最大の功労者と言える物なのだ。

その中で武漢Punxに影響を与えたバンドは、
[Radio Hade][マドンナ][Red Hot Chip Peepers]
他にも[セックスピストルズ][クラッシュ][ニルワーナ][P.J Harvey]等々、
北京Punxと共通している点が多い。

この当時、武漢Punxの創始者的存在だったのは、
[S.M.Z.B/生命之餅]Vocal呉維/WuWei、
現[造糞器]Vocal仁傑/LenJie、
現「Dada楽隊」Vocal彭坦/Peng Tan(当時[人異楽隊]Vocal)達だ。

その後、今は解散してしまったが[S.D.L/死痘楽]Vocal張海/ZangHai
(現[造糞器][DIS OVER/乱日]Guitar)が現れ、
[DIS OVER/乱日]Vocalの葉聡/YeCong、
元[S.M.Z.B/生命之餅]Drumsの朱寧/ZhuNing等、
現在では武漢Punxの古株である人物達がそろった。

この頃武漢には、北京の[Hang on the BOX]についで
中国第2のガールズパンクバンド[No Pass]が存在した。
残念ながらこのバンドは現在解散してしまったが、
このバンドのドラムであった“胡娟”HuJuanは、現在[BAD TEETH]と言う
オールド・スクール・パンクバンドのドラムである。

最近は、武漢パンクの創始者的存在の一人である“呉維”WuWeiが、
ドイツでパンク&ハードコア関係の雑誌を作っている人物と連絡を取り合っていて、
その彼がドイツから大量の全ヨーロッパから南米に至るまでの
世界中のアンダーグラウンド・パンクバンドのカセット・テープを
武漢の彼の自宅へ郵便で送りつけた。
武漢のPunxたちはこれらの音源に接触した時から、急激に変化し始めた。
みんなで交代にこのテープを繰り返し聴き、それを自分たちのバンドで実践した。
それで今では中国各地で唯一、北京と比較、
或いは北京を越えるほどの実力を持ったパンク・シーンへと成長したのだ。

97年から始まった武漢のパンク・シーンは、
ここ数年間違いなく劇的な変化を迎えており、この勢いとその実力ならば、
近いうち国外のメディアへ紹介され、
世界にWuhan.Punkの名を知り広める日が来るのではなかろうか?


New Human Bar 新人類

ここで紹介するのは武漢パンクシーンの本拠地的存在である
[New Human Bar](新人類)

この店は、開業から現在に至るまでオーナーが数人入れ替わりながらも
2年間以上堅持し続けている。
今では武漢でパンク・ライブが頻繁に行われるスポットはここ一軒だけ。
まさに武漢のScream-Clubと言って良い存在だ。

この店は武漢の大学が集中している「武昌区」の「街道口」に位置し、
そのすぐ近くが「武漢大学」。この店は「湖北省歌舞劇院」の敷地内にあり、
一見するとここにパンク・スポットがあるようには見えない。だがライブ当日
になると建物入り口前の階段に無数の武漢Punxたちが集まり、
さすが武漢が中国で北京についで最もパンク・シーンが熱い都市であるのかと思わせてくれる。

間違いなく武漢パンク・シーン発祥の地であり、毎年武漢を訪れる
全てのパンクバンド達(アジア・欧米から訪れるバンドも多い)が、ここでライブを行っている。


Live Report & Band Data

[DIS OVER/乱日]
Vocal&Guitar 葉聡/YeCong
Guitar 張海/ZhangHai (元[S.D.L/死逗楽]のボーカル&ギター)
Bass 徐旦/XuDan
Drums 張勇/ZhangYong

グランジ・バンド[DIS OVER/乱日]
彼らはパンク・バンドとは言えないが、武漢パンク・シーンの初期から
活躍している古株で、音楽性は中国らしいグランジと言えよう。
彼らのボーカル“葉聡”YeCongは依然読んだ本から知った
黒沢明の名作 映画[酔いどれ天使]の影響を受け、彼らのある一曲にこのタイトル 名を付けた。
このバンドのギター“張海”ZhangHaiは、以前[S.D.L](死逗楽)と言うバンドを組んでおり、
そのボーカル&ギターだった。このバンドの音楽性はPOPなオールド・スクールで、
以前[S.M.Z.B.](生命之餅)と並んで武漢を代表するパンクバンドの一つだった。
残念なことに現在解散してしまったが、彼は現在この[DIS OVER/乱日]以外にも、
[造糞器]と言うバンドのギターでもある。
[造糞器]は、これまた武漢のパンクの第一人者の一人である “仁傑”RenJie率いるバンドで、
最近ギターリストが脱退してライブが出来ない状態だった。
“張海”ZhangHai加入後、彼らのライブが実現する 日を私は楽しみにしている。
[DIS OVER](乱日)は最近北京でライブをやってなく、
来年にも実現で来れば良いと願うところだ。


[S.M.Z.B/生命之餅]
Vocal&Guitar 呉維/WuWei
Bass 丑丑/ChouChou
Drums 李錦/Li Jing

武漢出身のボーカルの“呉維”(WuWei)は紛れもなく武漢パンクの創始者的存在。
ベースの“丑丑”ChouChouは“呉維”WuWeiの甥。
音楽性はセックス・ピストルズを思わす典型的なオールド・スクール。
ボーカル“呉維”の存在感はまさにアンダーグラウンド・シーンの象徴のようだ。
しかも彼らはこの音楽性以外にもエモーション的な歌曲を数曲持っており、
こちらは日本の[ENVE]のような感じだ。
こちらのほうも完成度はかなり高く、間違いなく中国で最初のエモーション・バンドといえよう。
これらの曲は今年の夏以降、ライブではやっていないが、
おそらく来年上旬にはお目にかかれるのではないだろうか?
また、このドラム“李錦”LiJingは北京で別のパンク・バンド
“OUCH”のベース“王力”WangLiと一緒に別のパンクバンドを組んでいる。
この二人は共に北京の南にある小都市で河北省に属する「廊坊市」出身。


[OUCH]
Vocal 劉舸/LiuGe
Guitar 方志猛/FengZhiMeng
Bass 王力/WangLi
Drums 葉景?/YeJingYing

北京の南にある小都市で河北省に属する「廊坊市」で結成された
ボーカル&ギターであった “方志猛”FangZhiMengとギターの“王力”WangLiが
解散後に北京にて組んだパンク・バンド。
ボーカル“劉舸”LiuGeとドラムの“葉景?”YeJingYingは北京出身、ほかは廊坊出身。
ドラムの“葉景?”YeJingYingは北京を 代表するパンク・バンド[REFLECTOR](反光鏡)のドラム。
音楽性はスカを見事に取り込んだオールド・スクール。
曲のほとんどを ベースの“王力”WangLiが書いており、その感性はまさに“独特”そのもの!
これは決して中国的と言う意味ではなく、まさに彼ら特有の音楽性と言えよう。
完成度の非常に高い、北京で将来最も成長しそうなパンク・バンドの一つである。


Writing by Adachi Haruo
People's Records Beijing Office
2001.12.12.wed.


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