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2008年9月19日
東京・大久保HOT SHOT

【独パン・ライブvol.99】
〜収穫祭〜




群馬から東京独パン初出演、アライコウジの日記より抜粋。写真(加工)も。

午後2時半、大久保駅に到着、外は台風13号の影響で既に雨。
高架橋脇に見えた楽器屋からコリアンタウンとも呼ばれる大久保の街をしばらく傘差してウロつき、
独唱パンクvol.99~収穫祭~会場のHotShotへ。
久しぶりの主宰チバ大三氏と大阪から遠征の夜士郎氏に初対面。
会場のフロアに皆で座り込み、談笑しながら刷り立ての独パン誌を織り込む、
製本ホチキス(既に3代目らしい)でチバ氏が1部ずつ仕上げてゆく。
毎号楽しく読んでいたのでこの作業に参加できたのがちょっと嬉しい。

ステージではサウンドチェック開始、
この数年というものバー形式のハコでばかり演っていたせいか、
この真っ直ぐと客席に向かうライヴハウスの感覚を思い出すまで少し戸惑ったが、
この前後に広いスペースは武器になるかなぁ、とか考えながらリハを進める。
恐らくまだ若いPAオペレータさんだと思うのだけど、あまりデジタリックやラウドにしすぎず、
ライン/エアーを問わず比較的ナチュラルな音作りをする方で話も早くとても助かった。
この頃には青木マリ嬢、ゲストの三上寛氏も到着、皆サウンドチェック時から既に攻めている感覚だ。
三上氏とご一緒するのは(勝手に)オレの修行の場、前橋CoolFool以来2度目。
リハの前後にも現在取り組まれている映画についての準備にメールで追われているご様子でしたが、
その間もスタッフや競演者に気さくにお話してました、ホントいつもタフで周囲に元気をくれる親父なのだ。
本番直前、3Fの楽屋で夜士郎氏と話し込む、今回の競演者は(三上氏を除いて、、笑)ほぼ同世代、
共通な話題も多くて、しばし昔話に花が咲き、リラックス。お陰でよい緊張だけ残して本番へ。

アライコウジ

確かステージに上がって一番最初に思ったのは『うぉぉ、 濃いぃ!』。
そう、これは独唱パンクなのである、
当然客席には独パンに出演暦があるツワモノ達が多数観客として居るのである、
前橋に遠征してくる彼らにパラパラと個々にお目にかかる事はあるが、
これだけ束になると流石に壮観な眺めだ、、そしてガン見、さらに親分、三上寛氏。
恐らくステージにいてこれほど刺激的な緊張感はそうはないだろう、ムチャクチャ嬉しくなった。
今回はチバ氏が以前言ってた自転車のチューブみたいな「パンク」を演奏の流れでやりたかった。
全開だけでなく、押さえ押さえて突然ハジケる、ガタゴト、ボコボコ、プツリ、バーーン! である。
ステージを降りた後、
チバ大三氏や三上寛氏というハジケの達人に「おまえ〜面白かったよ」
と有難い言葉を頂けたので、きっとブシュー!位はイケたんではないか、と思う。
(...観ていた田中眞紀子さんには「吠えすぎ」としっかりダメ出し貰いましたが 笑。)
しかし楽しい時間だった、やりたい事やって吐き出したカラッポ感が心地よかった。

夜士郎

独パン誌、ネットラジオ等で気になってライヴを観たかった一人。
がむしゃらに魂ぶち込んで叫ぶ声、おぉぉ!やっぱし大阪スゲェ! と、嬉しくなったんだ。
少し脱線するが、その後大阪に行った時、お洒落なブルース的ギターに乗り、帰ってオンナにでも直接言え、
的な歌詞をヘラッと演奏する人達が溢れていて(またそれが妙に右に習え、に映り)、
こういうモンなのか?、と失意に似た疑問を抱えて帰ってきた事があった。
今回のライヴを前に彼のサイトを拝見していたが、どうも彼自身もそんな風潮の中で戦い続けていたようだ。
そう、オレは大阪も東京もなく、単に数値的な比率を肌で感じ取ってしまっただけで、
聴きたい音楽なら自分から求めなければいけない、という大事な事を忘れてしまっていた。
我ながらなんとも情けない話だが、教えられたよ。
 そんな彼のステージ。音源から今回のライヴに辿り着くまでの間、暫く活動に空白を作ったとの事で
変化なのか進化なのかは彼のみ知る所だが、根底にある変えようの無い熱さは感じさせながらも
直接的な吠えというより、"うた"そして"語り"としてしっかり伝えきってやる、という印象を受けた。
ギタープレイも一体感を求めてか素手でストロークし、時にクランチさせたり、と探求の痕が伺える
独特のサウンドを生み出していた。
「さよなら僕のブルース」という曲は前述の事もあってか、オレの中で妙に響いたなぁ。
(きっと本意からはかなりズレがあると思うが、観る者が勝手に解釈するモンがあってもいいよな。)

青木マリ

1年程前、やはりここHotShotでライヴを1度観ていたのだが、
ワイルドになったヘアスタイルを含め、
あれ?別の人?と思うほどエネルギッシュな歌声を全身使って響かせていた。
リハ時にチバ氏が「今回は本気モードだね」と言っていた意味が曲を重ねるにつれて納得に変化していく。
昨年のステージでは母の優しさみたいな柔らかい印象が凄く残っていたのだが、この夜は
(きっと)以前から持ち合わせていたのであろう小悪魔的な、、
何だろう、アノ頃にいた都会派ロッカーなニオイなんだ(人それぞれで伝わり難い感覚で申し訳ない)。
セックスや性を連想させる歌詞等、ギラッとした部分を垣間見せるが、あまりヤラシクはならず実にクールだ。
そして例のオトナのオンナの余裕でやんわり包み込んでるような感覚。
2つの極が広げる世界を振り子のように揺さぶられながらラストのバラードナンバーへ突入。
指差した先が解っていながら、、いつの間にか涙腺が緩んでしまった、チクショウ、カッコイイなぁ。

チバ大三

「歌うフィールドが無ければ創ってしまえ!」
とアングラ界の戦国武将、チバ大三氏が立ち上げた独唱パンクも遂に次回で100回の大台に乗る。
その辺りの話は(独パン誌の)次号で伺えると思うけれど、
この過激なイベントを支えて来た氏のチカラにまず敬意を込めてお祝い申し上げます。
「スローバラードの女王、青木マリ嬢に続き、敢えてスローナンバーからはじめた。」
と、後で聞いた話では今回は出演順を含めてより原点に近い部分を色濃く出したという。
成る程、1曲目の"おめあて"。フルアコから丁寧に紡ぎ出されるアルペジオ、
(あの音色は最早"チバトーン"と呼んでも良いだろう)
そして吐き出される言葉は限りなく余計なモノを削ぎ落とした"うた"だったように思うし、
"今宵のテーマ"を決定づけた1曲だったのは間違いない。
チバ氏とはまだ数回しか競演していないのだが、
彼はステージの展開や流れを読む感覚が非常に優れていて、こうした点と点との繋ぎ方には毎度感心させられる。
続いてアップなナンバーもたっぷり、割と新しいナンバーも観る度に進化を重ね、熟成の域へ達している印象を受けた。
"黒いタママ"ではPAオペレータとの熱いディレイバトルも展開。
構成に緩急を付けながらラストの"トキメキニシス"へ、激しいリフ、囁きから絶叫へ、
チバトーンを自らブチ壊すようなFUZZでギンギンにしてエンディング(また観てる方も待ってました!、という感覚なんだ)。
会場を一気に熱して三上寛氏へ襷を渡した。

三上寛(ゲスト)

そして大トリ、三上寛氏登場。
もう何度も観ているが、踊るわ、走るわ、こんなに激しく動き回るステージを観たのは初めてだ。
トレードマークになってるスモークグリーンのグレッチを巧みに操り、
乾いた音色と湿っぽい音色を正に弾き方一つで使い分ける、恐ろしく繊細なコードワーク。
そしてあの声だ、囁き、吠え、叫び、、、もう言う事ナシ、ひたすら三上寛ワールドに飲み込まれるだけである。
"夢は夜ひらく"では幻と呼び声高い"あしたのジョーなんかきらいだ"を挟み、一際大きな歓声が沸いた。
三上寛氏といえばコテコテのAマイナーというイメージが強いが、
個人的にはライヴ中盤の"未だ"や"五百子先生と山羊"と言ったGコードから始まりますよ的な曲にどうも魅力を感じてしまう、
あの深みは一体何処から生まれるのか、、毎回ライヴ後には頭に残留してリピートしている
。 そして終盤、ドスの効いた歓声で埋め尽くされて熱くなったHotShot。
三島由紀夫氏の小説から「世界解釈の意思を完全に放棄する事、それが音楽。」という一節を詠み、
さらにじっくり一曲。最後に「独パン99回、ありがとう!!」と、この夜を締め括った。


終演後、緊張から開放されて美味い酒に酔いしれる、
ココで夜士郎氏は青木マリ嬢から今夜一番の格言を浴びせられる事になる。
  「ちゃんとゴハン食べないと元気になれないんだからねっ!!」
一同爆笑の後、それぞれ只々頷くのであった。

そして撤収、地上に出るとドシャ降りの雨、、だが皆の顔は一様に明るい雰囲気だった。
気持ち良いライヴの後は天気なんてどうでも良いのだな、音楽のチカラはホント偉大なのである。


アライコウジ HP
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